2013年(平成25年)4月1日から嚥下(えんげ)外来がスタートしました。担当の歯科医師や言語聴覚士、管理栄養士などが協力し、嚥下状況の診察、食べやすい方法や食事の形の検討、リハビリを行います。また当院の患者さんだけではなく、他院からの紹介、地域の診療機関との連携、来院できない患者さんの訪問診療なども実施します。生活のなかでとても大切な“食べること”を守るため「口のスペシャリスト」として地域のみなさんをサポートします。
「嚥下」とは、水分や食べ物を口のなかに取り込んで、咽頭から食道・胃へと送り込むことです。
これらの過程のどこかがうまくいかなくなることを「摂食・嚥下障害」といいます。
脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病など脳・神経疾患によって起こるほか、加齢による歯の欠損や筋力低下、感覚の鈍化などで、近年は高齢者にも多くなっています。
そのほか認知症でも起こることがあり、高齢者数が増えるこれからの時代には避けられない問題です。
嚥下に障害があると、食べ物や水、唾液が器官に入って口のなかの菌が肺に流れ込み、肺炎を引き起こすことがあります。これが「誤嚥性肺炎」です。誤嚥性肺炎は高齢者に多く、2012年に日本人の死因の第3位が肺炎となるなど、高齢化に伴った問題となっています。
嚥下外来ができたことで、今まで摂食・嚥下訓練を担当していた言語聴覚士では行えなかった、医師による嚥下造影検査や内視鏡検査もできるようになりました。より詳しい検査をしながら多職種で連携したリハビリを行います。
まず診察を行い、レントゲン動画を撮影して飲み込みの状況を確認したり、誤嚥をしていないかチェックをしたりします。そして現在の問題点や今後の方針、目標を立てています。
リハビリではマッサージ、食べやすい姿勢や食べ方、義歯の調整や咀しゃく機能の回復などを患者さんの状態に合わせて行い、それぞれに合った食事内容も提案します。
(例えば…飲み込みにくい→食事にとろみをつける、咀しゃくできない→細かくきざむ、くずす、ペースト状にするなど)
こんなときは摂食・嚥下障害の可能性があります。
食事中の咳 | 食事が気管に入っている事がある |
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痰の量・性状 | 誤嚥で痰の量が増えることも。食後に痰が増えることがある |
食物の残留感 | 食後、のどの辺りに違和感を覚えることがある |
声の変化 | 食事中や食後、ガラガラ声、痰がからんだような声になることも |
食欲低下 | むせるために食欲が低下することがある |
食事の変化 | パサパサしたものを避ける、軟らかいものしか食べない、汁物をとらないなど |
食事時間 食べ方の変化 | 食べるのが遅い、上を向かないと飲み込めない、食物が口からこぼれる、食物が口の中に残るなど |
食事中の疲労 | 食事をすると疲れるなど |
体重の減少 | 嚥下障害で食事がきちんと摂れていない場合がある |
このような症状が現れたときは嚥下外来にご相談ください。
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